01:雨降りの朝



「どうしたらいいウパ!?エンジン壊れてるし機械部も気持ち焦げ
てる!ガネット…ガネット!?…あぁ、ついに通信の回線もやられ
ちゃったウパ!!どうしたらいいウパァっ!!」
物凄い早さで喋り、叫び、宇宙船の外壁に力一杯、にぎった手を打
ち付けて、パルは焦燥していた。
というのも、宇宙の平和を守るべく、地球の平和も守れよと、ここ、
つまり目的地、地球にやってきたはいいが、宇宙船が壊れてしまっ
たのである。
その上、途中まで一緒だったはずの友達、ガネットの宇宙船も事故
に遭ったらしく、彼自身は無事ではあるらしいが、その通信も今し
方途絶えた。
重力がきつく、思うように身動きが取れない中、やっとの思いで宇
宙船から這い出し、なんとか繋いだ回線だったのに…。
しかも、よりにもよってこんな山の中に不時着…と言うよりはむし
ろ墜落なのだが…するなんて…。
その上雨まで降ってきた。
何もこんな時に…。
最後にごはんを食べたのはどれくらい前だっただろうか…。もう力
も殆ど残っておらず、パルは自分の運の無さを呪った。


「ウパッ!!」
サイバーが作ってくれたパジャマを汗でぐっしょりと濡らし、ゼイ
ゼイと肩で息をした。
あんな夢を見たのは、たぶん窓越しに聞こえる雨の音のせいだ。
あれから一週間も経つわけで、これを自分の星の時間に直せば二週
間にもなる。主にサイバーのおかげでこの星の早さに合わせて、ゆ
っくり喋れるようになったし、長く眠れるようになったし、食事の
時間も、もう一週間もすれば完全に合わせられるようになるだろう。
もともと自分の星の自転時間は地球の半分、およそ12時間。体内
時計もそれと同じ、11時間59分程のサイクル。もしかしたら、
この世界においては、体内時計が25時間のサイクルであるといわ
れる人間よりも地球には適しているのかもしれない。

パルはサイバーと寝ていたベッドから抜け出し、真っ暗い中、少し
慣れてきた目を見開いて、明日の着替えとしてベッドの脇に出して
おいたタンクトップと短パンに着替えた。
そうしてまたベッドに戻ると、サイバーが居心地悪そうにうなり声
を上げ、目を覚ました。
「…パル…もう起きたの…?」
「うん、まあ…」
「まだ暗いし…雨降ってんじゃん…ラジオ体操なさそうだしゆっく
り寝てようぜー…」
「うん…」
サイバーは眠そうにもごもごと喋ると、パルを抱き寄せ、また規則
正しく呼吸をし始めた。

あれから一週間も経つわけで、重力にも随分慣れたし、どうやらガ
ネットも彼の従兄弟の家に保護されたらしく、安心している。
それでも、あの時サイバーが駆けつけてくれなかったら、と思うと
ぞっとする。

あの時は、たまたま家出を試みていたサイバーが、墜落時ちょうど
山の梺におり、その音に気付いて興味本位に、何が降ってきたのか
探しに来て…といった感じで、雨の中、力無いパルをおぶって自分
の家まで走ってくれた。
それに、通常の人間の約二倍に匹敵する早さの言葉も理解してくれ
たし、サイバー鍋は故郷の味に煮ていたし、両親を口説き落として
パルを居候させてくれた。
彼になら安心していい人光線銃を預けられると思っている。

「ねぇ、サイバー…?寝ちゃった?」
「…ん…いや…」
「ボク怖い夢見たんだ…」
「…そっか…おいで…」
サイバーは自分の腕枕に乗せていたパルの頭を胸の上に、抱きしめ
た。パルの脈のちょうど二回に一回、サイバーの鼓動が体中に伝わ
り、それはとても心地よかった。
「…眠れそう?」
「ウン。」
とても安心する。
初めてこの星で眠った日、深夜に目が覚めたとき、彼が今みたいに
抱きしめてくれて、何とか朝まで眠った。

ここの暮らしに完全に馴染むことができたと感じたら、彼に…サイ
バーにいい人光線銃を託そう。
パルは遠のく意識の中、そう決意して眠気に身を任せた。

雨は止みそうにない。今日は遅くまでこうしていられそうだ。





切ないラブスト−りーを描こうと思った結果が…
なんじゃこのSFはぁぁ!!
サイバーの胸枕で眠るパルを描きたかっただけだったり。
…そして自分のヘタレさを呪う。




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